英語は母国語として「話すように聞く」それとも「単語を最後までしっかり聞く」どっち?

このサイトで言ってきた、母国語としてのリスニング。それは、「話すように(モノマネしながら)聞く」だったり、「単語を最後まで聞く」だったり。二つは同じ考え方なのか、違う考え方なのか。考察してみましょう。
―「話すように聞く」という考え方―
日本人がつまずきやすいポイント
多くの日本人学習者は、英語を聞いた瞬間に日本語へ訳そうとしてしまいます。
「意味はなんだろう?」と頭で考え込むうちに、耳は次の音を取りこぼしてしまう。
その結果、最後まで単語の音を追いきれないことが多いのです。
1. 最後まで同じタイミングで聞く
英語を母国語のように理解するには、単語を頭の中で止めず、最後まで音を聞くことが大切です。
意味を先回りして推測せず、流れてくる音を音として最後まで拾う。
この「リズムに乗る」意識が、結果的に英語を英語のまま捉える力につながります。
2. 心の中でリフレインする
もうひとつのアプローチは、聞きながら心の中でリフレインする方法です。
聞いた音を、心の中でそっと繰り返す。
これは「シャドーイング」に似ていますが、声に出さず、頭の中で口ずさむ感覚。
私はこれを 「話すように聞く」 と呼んでいます。
耳で聞きながら、同時に自分がそれを口にしている感覚を持つと、音と意味が自然にリンクしていきます。
3. どちらが正解か?
実は、どちらも正解です。
- 「最後まで音を追う」ことで、意味を日本語に置き換えずに理解できる。
- 「心の中でリフレインする」ことで、音を自分の発話と結びつけられる。
大事なのは、「日本語で考えない」こと。
音を聞き切り、英語のまま捉える習慣をつけることです。

ネイティブのアメリカ人が実際に「英語を聞くとき」にどうしているのか?
1. 単語を区切らず、かたまりで聞いている
アメリカ人は、文を「意味のかたまり(chunks)」として聞き取っています。
- “I don’t know what you mean.” を
「I don’t / know what / you mean」
と区切って自然に捉えるイメージです。
単語ひとつずつを処理するのではなく、まとまりで瞬時に理解しています。
2. 音を最後まで追っている
ネイティブは、話の最後まで耳を乗せて聞いています。
「この単語の意味は…」と止まるのではなく、リズムやイントネーションごと流れに乗って理解しています。
結果的に、聞き終わった時点で「全体の意味」が頭に残るのです。
3. 意味を考えずに、イメージでつかむ
ネイティブは頭の中で「翻訳」をしていません。
たとえば “break the ice” を聞いたときに「氷を壊す…つまり人間関係の緊張をほぐす」と訳しているのではなく、「場がなごむ瞬間」のイメージが直接浮かぶ。
だから処理が速いのです。
4. 聞きながら「内的リフレイン」していることもある
学術的にも「inner speech(心の中の発話)」と呼ばれる現象があります。
これは日本語学習者がやる「リピート練習」と似ていて、ネイティブも聞きながら心の中でつぶやくような処理を自然にしています。
結果的に「話すように聞く」状態になっているわけです。
まとめ
- ネイティブは 単語でなくフレーズのかたまりで聞く
- 最後まで音を追いながらリズムで理解する
- 翻訳せず 直接イメージで捉える
- 自然に 心の中でリフレインしていることも多い
つまり、
「最後まで聞く」「心の中でリフレインする」「話すように聞く」
は、実際にネイティブが無意識でやっていることと一致しています。
