「状況証拠があるcould」は推理ドラマにぴったりだ! 001

推理もの、特にシャーロック系を見ていると、助動詞が多いです。多すぎる。それで、以前に取り上げたのが could です。気づいたんですが、推理系のドラマって、couldが多いんです。なぜなのか。深掘りです。
Could have just replaced it.
表札が真新しい家を見て、シャーロックが言うセリフです。前の記事でも書いた通り、これを受験英語のノリで「変えることができたろうに(でも変わってない)」と取ると、文脈に刺さりません。ここはむしろ、「ちょうど(最近)取り替えたばかりかもしれない」という推量になります。
で、ここからが本題です。
なぜ推理ものでは、こういう could(推量) が気持ちよくハマるのか。
推理って、まず「断定」ではなく、最初にやるのは 候補を並べること です。状況証拠しかない段階では、世界は可能性だらけです。だから推理の会話は、いきなり犯人を決めにいくんじゃなくて、
「こういう説明も成立する」
「この線もある」
「それもあり得る」
という“候補の管理”になります。
英語ではこの「候補として成立する」を作る道具が、まさに could です。
ここでの could は、能力(I can swim)の can とは感情が別物です。
頭の動きとしては「できる」じゃなくて、「その説明は排除できない」「可能性として残る」なんです。
だから、
Could have just replaced it.
は、シャーロックが「引っ越し」や「偽装」を断定したいわけじゃなくて、逆に“決めつけ”を止めています。
「表札が新しい=何か怪しい」
と短絡しそうな場面で、
「いや、単に替えただけかもしれない」
と、可能性を一つ足す。これが推理として強い。
ここで重要なのが just です。just は「単に」でもありますが、推理の場面だと「ちょうど/たった今/最近」という“時間の近さ”にも寄ります。元記事でも「変えられたばかりかもしれない」という読みが核になっています。
つまりこの just は、「その可能性は“直近の出来事”として自然だよ」という意味の補強にもなっています。
もう一つ、英語の文法説明としても could have + p.p. は「過去の可能性」を言う形として普通に扱われています(“過去にそうだった可能性/そうした可能性”)。
推理ものは、この「過去の可能性」を連打するジャンルなので、当然 could have が頻出します。
ここまでをまとめると、推理ものの could はだいたいこういう仕事をしています。
