ドラマ「三体」の英語から読み解く
中国発、ネットフリックスの大作『三体』ですが、SFのためにエイリアンの言葉が出てきます。
人間の言葉なら推測可能でも、エイリアンの言葉は時に推測不可能。
たとえば、
What is known is communicated as soon as communication takes place.
日本語に訳す時のように全体で見ても、一瞬で判断するのは少し難しいです。
上から順も同様に、すぐに理解できる人は少ないかもしれません。
やってみましょう。
上から順に理解していくと、
What is known
は「知られているもの」
is communicated
は「伝わっている」
as soon as
「〜とすぐに」
communication takes place
「コミュニケーションが起こると」
という感じです。
入れ替えせずに上からの順で理解できたでしょうか。
翻訳すると、
「知られているものは、コミュニケーションが起こるとすぐに伝わる」
という意味で、少し理解不能です。これはそのエイリアンの特性を言っているもので、地球人と違い、コミュニケーションを図ると、すぐに相手の知っていることが伝わるので、嘘をつけないそうです。
意味がわかると、それほど難しい英文でもなかったことがわかるのですが、人間らしくない意味の言葉は「合っているのだろうか?」と不安になるものです。
次はこれです。
If you’re as clumsy as you were at our meeting, you’ll never find out.
先にオフィシャルの訳を見てみましょう。
「ガサ入れすら手間取る人には永遠に謎ね」
宇宙人の到来を信奉するグループの集会にガサ入れした警察に対して、グループのリーダーが言うセリフです。
先ほどの
as soon as
を先ほど表記したように「〜とすぐに」の感覚で覚えていると難しくなるかもしれません。
まず、
If you’re
は「もしあなたが〜なら」
as clumsy
「同じように不器用なら」
as you were at our meeting
「ガサ入れのときのように」
後半は省略します。
上から順に訳すときに、このasはセオリー通りにやらないと混乱する可能性があります。
as soon as
を一塊にして訳す方法は、順序を入れ替えたりして訳すには適していますが、上からだと難しいのです。
as A
と
as B
で、「AとBが同じ」というのが正しい解釈です。
as soon
と
as communication takes place
は、
コミュニケーションを取るのと、「まもなく」が同時だということです。
as clumsy
as you were at our meeting
も、
「不器用」と「ミーティングのときのあなた」が同じで、
「ミーティングのときくらい不器用なら」
というのが正しいニュアンスです。
「ガサ入れすら手間取る人」は皮肉たっぷりで怒っている感じですが、
「ガサ入れのときくらい不器用なら見つけられないでしょう」
というのは丁寧さと分析力がある言い方で、それはそれで凄みがあります。