「状況証拠があるcould」は推理ドラマにぴったりだ! 003

推理小説は could / might / must の宝庫です。理由は単純で、探偵は「事実」ではなく 状況証拠から推理しているからです。英語ではこういう推理を modal verbs of deduction と呼びます。つまり「証拠からの推理」です。
では、実際の推理小説から短い例をいくつか見てみます。
1 シャーロック・ホームズ(Arthur Conan Doyle)
英語タイトル
The Sign of the Four
日本語タイトル
『四つの署名』(1890)
この作品は、宝の地図と失踪事件から始まる話で、
Major Sholto(ショルトー少佐) が重要人物として登場します。
“The only person in London whom he could have visited is Major Sholto.”
意味
「彼がロンドンで訪ねた可能性があるのはメジャー・ショルトーだけだ」

ここは典型的な 状況証拠の推理です。
状況
・男が失踪
・知り合いが少ない
・行き先候補が限られる
そこから
could have visited
「訪ねた可能性がある」
という推理になります。
ここでの could は
能力でも仮定でもなく
状況から成立する説明
です。
2 シャーロック・ホームズ
英語タイトル
The Boscombe Valley Mystery
日本語タイトル
『ボスコム渓谷の惨劇』
※短編集 The Adventures of Sherlock Holmes(『シャーロック・ホームズの冒険』)収録
ここはホームズが事件の状況を聞いて
「いったい何が起きた可能性があるのか?」
と推理を始める場面です。
“What extraordinary calamity could have occurred?”
意味
「いったい何が起きた可能性があるのか?」

これも完全に推理です。
探偵はこう考えています。
・状況がおかしい
・普通の説明では足りない
・では何が起きた可能性がある?
このときの could は
可能性の棚卸し
です。
推理ドラマの会話はだいたいこの段階から始まります。
3 Holmesの有名な推理原則
英語タイトル
The Sign of the Four
日本語タイトル
『四つの署名』
“When you have excluded the impossible, whatever remains… must be the truth.”
意味
「不可能なものをすべて除けば、残るものはどんなにありそうになくても真実だ」

ここに推理の助動詞の構造が全部出ています。
推理の流れはこうです。
1
could / might
「あり得る候補」
2
証拠で候補を消す
3
must
「これしかない」
つまり
could → must
に変わる瞬間が
推理のクライマックスです。
4 推理ドラマの典型的な流れ
推理小説やドラマの会話は、実はほぼこの順序で動きます。
