would could  仮定と推量をはっきり分けられますか? 001 (公開)

would could  仮定と推量をはっきり分けられますか? 001 (公開)

現実に起こること、起こったことでwouldを使うというのを知らない人が多いのは、仮定法だけを教えられたから(日本の教育で)ですが、wouldの過去の言い方で推量も仮定も同じ言い方、訳になるのはご存知ですか。

同じなのに、意味が違うのです。

と、訳のわからないことを言っているかのようですが、この回を読み終わったときには、スッキリ理解ができているはずです。

それでは、学校では教わらない、推量のwouldとcould、いってみましょう!

まずは、wouldの使い方を再び『シャーロック』から紹介したいと思います。

ある女性が突然会社を辞めます。

彼女にはたくさんの仕事があり、モチベーションもあったのになぜ辞めたのか。同僚の男性は納得いきません。

そこで、上司に問い詰めます。

「やりたいことがいっぱいあったのに、どうして突然やめるんですか?」

この言い方は、「やめるわけないでしょう」という反語が続いているはずです。

そして、この「どうして突然やめるんですか?」にwouldが登場します。

Why would she suddenly resign?

もう辞めているんだから、wouldがdidでも良さそうな気がしませんか?

でもwouldです。

彼は、辞めた女性がまだ熱心に働いている様子を想像しています。

別の世界線の彼女について話しているのです。

別の世界線では、現在形は使われません。

そして、リアルな、今と関係している時間の感覚はありません。

過去や未来を意識してもいいですが、今の世界の時間とは別にあります。

そうなると、その世界で、これから彼女が辞める、辞めないという彼女の意思や行動について、willで表現する部分がwouldになります。

「なぜ、彼女は辞めようとする?」

という表現が、wouldになるのです。

推量も仮定も、文だけでは見分けがつかない!

結論として、

「もし彼女が仕事にまだやる気があったとして、どうして辞めようとするんですか?」

という仮定法が使われています。

どんなときに仮定法を使うのか、まだ難しく思う人もいるかもしれませんが、それは現実の会話や映画、本に、推量のwouldが出てくるからです。

これが混乱を招くのです。

それではまず、最初に出てきた文が推量なのか、仮定なのかを考えてみます。

Why would she suddenly resign?

仮定を見分ける要素として、wouldにwillの要素を残すというのがあります。

訳は「なぜやめようとする?」

です。仮定法なので、wouldが過去形でも、現在形の訳になります。

一方、推量はwouldの部分が「~はずだ」です。

そのため、

「なぜやめるはずなんだ?」

となります。

「彼女がこれから、やめるはずだと考えるのはどうして?」という意味になります。

仮定ではなく、これからの話になるのです。

このように、例文だけでは仮定法か推量かわかりません。

その前の文や、状況によって意味が変わるのです。

仮定と推量を使い分けるために、もう少し考えてみましょう。

たとえば、

He would go there.

は、仮定法で考えると「(実際には彼はもうアメリカにいるけど、日本にいたら)行くよね」です。

もし、頭の中の世界で「過去のこと」を言いたいときは、過去形ではなく、現在完了になります。

I would have been killed!

は仮定なら「もし昨日に町に行っていたら、殺されたはずだ(だろう)」。

という意味。ちなみにこれは単純に過去を表していて、現在完了の訳は適用しません。

推量なら、

「この被害者は昨日の5時の時点で、すでに殺されていたはずだ(だろう)」

という意味。仮定の話ではなく、実際に存在する過去について、現実の話をしています。

仮定法で作る想像、別の世界線では、行動を過去形で表すといいました。

頭の中でwill goのときは、would goと表すのです。

このように、別の世界線では、ひとつ過去を使うので、その世界で過去のことを言いたいときは、過去形ではなく、現在完了を使います。現在完了を使っていても、過去形の訳し方をするのです。

If I had gone to the festival, I would have bought some sweets.

頭の中で、「お祭りに行った」という過去を言うときは、日本語でも「行っていたら」と言うときがあります。

これが、had gone です。

後半は「いくつかのお菓子を買っただろうね(はずだね)」と訳します。

推量の場合は、「もし昨日お祭りに行っていたら」という部分は存在しません。

ただ、後半部分の訳はまったく同じになります。

「いくつかのお菓子を買っただろうね(はずだね)」

ですが、意味が違うのです。

推測なので、Iをheに変えます。

彼は実際にお祭りに行きました。そして翌日、

「いくつかのお菓子を買っただろうね(はずだね)」

と推測するのです。

英文も訳も同じになるのに、意味が違うということになります。不思議です。(002に続きます)