couldの本当の意味は日本人が追求すべきもの

「could」はとても複雑な助動詞であり、このサイトでも何度も取り上げてきました。しかし、日本人がネイティブに使い方を聞いてもあまり意味がありません。なぜなら、ネイティブ自身も厳密には説明できないことが多いからです。
また、「could」の意味や用法は日本語に置き換えて考えることが難しく、むしろ私たち日本人のほうが日本語の感覚として理解しやすい部分もあります。
例えば、「Can you」と「Could you」の違いについて、よく「丁寧さの違い」で説明されます。ある動画でも「Could youは仮定法の用法だから丁寧になる」という意見がありましたが、そこまで説明しても「日本語でどう表現できるか」というところまでは踏み込んでいませんでした。
「Can you」は「できる?」と訳し、「Could you」は「できますか?」と訳されますが、まずはこの「できますか?」を仮定法として考えてみます。
仮定法の例
If you could fly,
(もし飛べるなら)
これは「もし飛べるなら」という意味で、文法的には過去形の「could」を使っていますが、意味としては現在の非現実の状態を表しています。つまり、「今は飛べないけど、もし飛べたら」という仮定の話です。
そして、訳は現在形で問題ないです。
後半の文、
If you could fly, I could go there.
の「could」は「行けるのに」という可能性の意味で使われていて、これも「can」と同様の能力や可能性を表すものです。
つまり、仮定法では過去形を使っても、意味としては現在のことを仮定していて、現在形の意味合いを持っています。別の世界を想像し、そこでは「今まさに起きている」かのようなイメージです。
Could you は仮定法か?
しかし、「Could you ~?」の依頼表現は、おそらく仮定法ではありません。もし仮定法なら「~できる?」という意味になってしまい、丁寧な依頼のニュアンスが説明できません。
したがって、単純に「Could you ~?」を「仮定法」と決めつけるのは正しくなく、ネイティブもそれを強く意識しているわけではないため、説明に困るのです。
実際、「Could you ~?」は単に過去形にして丁寧さを表現しているだけ、と考えていいのです。依頼の丁寧な言い回しの一種です。
推量のcouldとwouldの難しさ
さらに、このサイトで最も重要なポイントのひとつが、「推量のcould」と「would」の使い分けです。ここもネイティブは言語化できません。日本人が日本語を完璧に説明できないのと同じです。ネイティブも「いや、だって、おかしいもん」と感じているのです。
「canは可能性、willは意思」という単純な考え方に固執すると、推量のcouldとwouldの理解は難しくなります。なぜなら、推量の用法にはそのような要素が必ずしも含まれていないからです。
また、「It will be」を「意思」と捉えるのも不正確です。これは未来に対する強い確信を伴う予測的な意味合いです。
She would be upset.
(彼女は怒っているだろう)
この文は話し手の推測や感情が入っていて、「だろう」と訳せます。話し手の「意思」に近いニュアンスがあるかもしれませんが、彼女本人の意思ではありません。
一方、
That could be true.
(それは真実かもしれない)
はwouldにはできず、明確な境界線はありません。
このサイトでは「can be」を「ありえる」と考え、「could be」は「ありえるかも」という曖昧さを含む表現だと紹介しました。
「would be」は「ありえる」という意味はなく、使うときは「真実だろうね」とかなり確信があるニュアンスになります。だから、
I think that is true.
(私はそれが真実だと思う)
と同じ意味合いなので、わざわざwouldを使う必要がありません。
「真実かもねー」という確信がない状況で言いたいという前提があって、それがcould beになるのです。
could beは「かも」なのか「はず」なのかというのもこのサイトでいろいろ考えましたが、She could’ve done it. といった現在完了と一緒に使う推量のcouldは、やはり「はず」がしっくりくるなぁと思う今日このごろです。