IF 仮定法過去は「今の妄想」だけじゃない
学校で教わる仮定法のIfは、「もし私が鳥だったらなあ」という代表例とともに教わります。
「今は鳥じゃないけど、もし鳥だったら」
という想像、妄想で、今、現実は違うと学びます。
英文では、Ifのあとに、過去形が来ます。
If I were a bird, I could fly.
「もし私が鳥がだったら、飛べるのにな」
ですが、実際の使い方として、ここにこだわっていると大変なことになります。
例えば、
If you made a noise,
You’d put all our lives in danger.
という文。
過去形を使うと、文法的には最初の「鳥」のような妄想になってしまいます。
でも、この文のニュアンスは妄想ではありません。
つまり、仮定法過去の文法は、「妄想(非現実)」か「現実」かの違いだけになっていて、実際の使い方に対応できていないのです。
上の英文は、アップルTVオリジナルの『インベージョン』という映画のセリフです。
家の外にエイリアンらしきものがいて、数人で隠れています。
その時、外に出ようとした家族に向かって家主が言った言葉です。
訳すと、
「もし物音を立てたら、みんなを危険に晒すことになるんだぞ」
となります。
日本語でそう言いたい時、皆さんは「今、違う状況だけど」と強く意識しますか? もしくは、それを現実と違う妄想だと思いますか?
このセリフを言う時の感情や意識は、「これから」に向かっています。
「今はまだしていないけど、もしこの先、この行動をしたら」
という意識です。
する可能性があるから警告しています。