ドラマ「三体」の英語から読み解く
中国発、ネットフリックスの大作『三体』ですが、SFのためにエイリアンの言葉が出てきます。 …
上から順々に英語を読み、理解していく「英英辞書で読む一語一語」。 日本語に翻訳するときのよ …
では、Don’t youとCan’t youを中心に見てきましたが、他パターンも見てみましょう。
Won’t it be sunny tomorrow?
「明日は晴れないの?(晴れるよね)」
これは反復して慣れないと使えないパターンだと思います。
でも一度慣れると使いやすいですね。
冒頭にwon’tが来るのと来ない場合の違いを見てみましょう。
It won’t be sunny?
だと「晴れにならない? (やっぱ雨?)」(雨になる不安)
となって、否定の疑問文になり、
Won’t it be sunny tomorrow?
「明日は晴れないの?(晴れるよね)」(晴れへの期待がある)
と違う意味になります。
手を合わせて願望を言うときにもいいです。
Won’t it be a good party?
「いいパーティにならないかな。なるよね」
現在完了も「同意」系があります。
ズバリ、Don’t you やCan’t you は同意を求めている文です。
クエスチョンマークのつく文が、純粋にyesかnoの質問の場合もあれば、「私と同じ意見だよね?」という同意の?もあるということです。
Don’t you やCan’t you はまさに同意系。
Aren’t youやisn’t itなども全部同じですが、ここではDon’t youとCan’t youに集中して考えましょう。
Don’t you think so?
は、「そう思わない?」
という意味。
Do you think so?
は思うか思わないかを聞いているだけです。
Don’t you think so?
は、
「私は思っている。君もだよね?」
という意味。
「思ってないの? まさか。思ってるよね」
というニュアンスです。
「私は思ってないけど、君は前にそう思っていた。そうだよね?」
というパターンでも使えるので、必ずしも「私は思っている」ことに対する同意ではないのですが、最初は「私が思っている」で考えたほうが理解がしやすいと思います。
こういったパターンを反語とも言います。
最初に否定しておいて、次に肯定するからです。
「行かないの? いや、行くよね?」
最終的な気持ちは肯定で、確認・同意になり、結果的に依頼的にもなるのです。
また、自信がないから訊ねているというのも大事な要素です。
他の動詞の場合は、
To speak reflexively in English conversations, practice is essential. Key responses to questions like “Are you sure?” should be practiced repeatedly. Japanese speakers may find responses to negative questions confusing, since nodding in agreement differs culturally. English requires verbal affirmation or negation regardless of head movements, a concept that necessitates repetitive practice to master. Additionally, becoming accustomed to the subjects ‘they’, ‘he’, and ‘you’ in such contexts is crucial for fluency.
「英語は歌」というと大袈裟ですが、日本の標準語に比べるとほとんど歌です。
標準語はピッチ(音程)を日本語から取り外し、母音の強調や伸びを取ったもの。
なので、日本語の標準語は歌とは大きな違いがあって、ミュージカルでは歌とセリフに違和感が大きく出ます。
それに比べて英語はピッチが存在します。
普段の英語に上下に動くピッチを加えると、一気に英語が生き生きしてきます。
また、「母音をしっかり発音して」と言っても、なかなかできる人はいません。
そこで、「歌にして」と提案するのです。
まさにミュージカルのように、セリフが歌になります。
すると、「母音を強調して、伸ばす」が実行され、ピッチも実現するから驚きです。
optionsという単語があったら、歌にすると
リラックスのアイウエが揃いました。
あとは唯一のアメリカン英語のオである、オウという母音があります。
boat, coldなどです。
同様に、エイという母音があり、makeなどで使われます。
「単にオとウの組み合わせじゃないか」と日本人は思うでしょう。その通りです。
アに関してはɑとɔを紹介しました。アは、さらにʌのアもあります。
これは喉を緊張させる短いアで、唇も舌も普通にします。
日本人にとってはなんてことないアです。
比較的強い音で、「アッ」という音のときもあります。
逆に、弱いアであるəもあります。これはシュワと呼ばれます。
aboveのアです。
すべてリラックスさせて発音します。
強いか弱いかで母音の種類が分かれるというのは、日本人にとって難解です。
最後に有名なæです。catで使われます。エの口で言うアです。
これで5のア。Rも方向性としてはアなので、6つあることになります。
多すぎなので、ここでやる気をなくしてしまうのも無理はありません。
少しでもアに強くなれるように、アについてもう少し理解を深めましょう。
娘の母音の話にあるように、日本人にとってカタカナ英語が もたらした弊害は大きいです。
そしてそもそも、標準語には母音を強調する特徴がまったくないので、英語や世界の言葉のような母音を強調する話し方や聞き方が苦手なのです。
子音も大事で、間違えている人が多いけれども、ある程度の練習をすればコツが掴めるし、リスニングも問題ありません。
何度教えてもできないのは母音であって、リスニングも母音を中心に聞かないから難しくなるのです。
自分の経験上、「母音を大事にせよ」と言うネイティブも少ないように感じます。日本人にとっては苦手分野だし、ネイティブにとっては当たり前すぎて、その問題点に気づけません。
だからこそ、母音を極めるのは英語を極めるのと同じ。特にアメリカ英語の母音習得は難しいです。
たとえば日本語では「あいうえお」があり、英語にはもっと多くの母音があるけれど、方向性は同じ。それぞれの音に、アの方向性があるか、オの方向性があるかと振り分けると、最後は「あいうえお」になります。
たとえばRは母音として考えると方向性は「あ」になります。
Uのスペルは多くの場合、「あ」の方向性を持ちます。
lotはアメリカ英語ではɑ:で、方向性はア。イギリスではɒになって、口をすぼめてオの方向性を持ちます。
caughtやtalkも同様です。
では、oのスペルについて考えてみます。
oはローマ字読みでオーですから、日本語の「だから」は「dakara」になります。
アメリカでは、「dokara」と書くことで「だから」と読めると前回お伝えしました。
他に例として、
hot
計算という意味のカリキュレイト。
英英辞書にはこうのっています。
If you calculate a number or amount, you work it out by doing some arithmetic.
日本語に訳すと、「もし数字や量を計算するときは、いくつかの算術を使うことで答えを出します」となります。
上から読んでいきましょう。
まず、
If
この時点で、ifにはいくつかの考え方があるので、答えはでません。
なので、
If you calculate
まで読んで理解します。
現在形なので、仮定の話ではなく、「〜するときは」「すれば」という解釈になります。
この場合は、whenの意味に似た「計算するときは」と解釈します。
そう理解した上で、目的語を受け取ります。
a number or amount(数字や量)
そして、カンマです。
これがあるということは、通常の順序から倒置されているという意味です。
You work it out by doing some arithmetic if you calculate a number or amount.
こちらのほうが英語的ですが、倒置されているほうが日本語と似た順序になります。倒置されることで、if以下が多少強調されています。
次に
生徒との会話の中で、どうしても文章の意味を意訳して伝えてしまうときもありますが、基本的には意訳をせずに理解する方法を採っています。
no matter howについて説明した通り、日本語に意訳したものを使うと、実践で使えません。
あくまで、言葉のイメージ通りに発信し、受け取り、使うのがセオリーです。
世の中には、「これはつまりこういう意味です」と文章の意訳を伝える動画や本が溢れていますが、これは本人が実際に使う能力を削ぐことになります。
私個人、若いころに映画の訳があまりに意訳だらけなことに気づいて、怒りを覚えることもありました。
「馬鹿にしている」と感じることもありました。
言葉の意味そのままに受け取っていれば、映画のセリフの絶妙な言い回しや展開を味わえるのに、意訳が台無しにするのです。意訳する側からすれば、「読む時間がないから短くするのが技術」と言いますが、それは本当の訳ができていないことに対する逃げの技術でしかありません。
Nのもうひとつの音は、/ŋ/です。
スペルで、最後にgやkが来るときには、舌先の意識を弱めて、舌の奥をびったびたに上顎につけて音を出します。
鼻から抜けるのは一緒です。
アメリカ英語ではこの音が強力なので、gは飲み込まれて発音しません。
kやdの場合はします。
Gは飲み込まれても時間は取ります。
ブリングはブリンという感じになります。gを言おうとする必要はあり、結果的に飲み込まれて空白になっているだけです。
/ŋ/
Lying
King
Bring
Ring
Sting
Swing
thing
Wing
among
bang
belong it
gang
hang
long
Couldは習得したもの、たとえば「水泳ができる」「かつては~が可能だった」の「できる」と、過去のことについて「できた(けどしなかった)」という意味、これから未来に「できるだろう」という意味があるとお伝えしました。
さらに、実際に「できた」ときには使わないというミステリーも。
言葉にすると本当にややこしいcouldですが、これからの「できるだろう」も、過去の「できた」も、たくさん使います。整理しましょう。
過去の「できた」は、日本語で考えるとよく使うのがわかると思います。
「昨日、カフェに行かなかったの?」
「行けたんだけどね」
とか、
「チケットの申込しなかったの?」
「しなかった。できたんだけどね」
というパターンです。
日本語だと「できた」の訳になります。
ちょっと前にチケットを実際にとれたら、日本語では「できた」ですが、このパターンでcanの過去形であるcouldは使えず、過去にできたけどしなかった「できた」はcouldで使えるというわけです。ややこしいです。
さらに考えると、じゃあ学校で習った「できただろうに」はどうなるのかと。
これです。
I could’ve done it.
実際にはしなかったという意味で、「もし来てくれてたら、それができてたのに」というイメージです。仮定法です。
このcould’veと、さきほどの「できただろう」のcouldに違いはあるのかというのが気になってくるはずです。
ニュアンスとしては非常に似ています。どちらも「できただろう」です。
違いがあるとすれば、「もし来てくれてたら」という条件が入っているのがcould’veです。
実際には来てくれなかったんだけども、もし来てくれていたら、できただろうに・・・。