世界の言語は音と語順で成り立っている 003
Who What Whyという英語的な語順をベーシックに捉えることは、リスニングでもスピー …
最近、本屋に並んでいる『一度読んだら絶対に忘れない英文法の教科書』を拝見しました。
英語を一から考え直すという意味で共感の持てるものでした。
ただ一点、現在完了に関して間違った捉え方をしていたので、改めて現在完了について述べたいと思います。
著者は、ニュース番組で「have crashed」という言葉が使われていたら、今も続いているというニュアンスがあるため、「衝突し、今も炎上中」という捉え方を視聴者はすると書いていました。
なので、訳で「衝突しました」は間違いだと書かれています。
しかし、ニュース番組の場合、「衝突しました」という訳は、間違いではありません。
ニュースで使われる現在完了は、「完了」中の「完了」で、「しました」の訳がぴったり来ます。
通常、ニュースは本日中のものを語ることが多いので、その場合に現在完了を使うときがあるのです。
しかし、それは「今日、○○が○○しました」という意味で、今の時間まで行為が継続していません。
これは、現在完了を大きく捉えた「Finished(完了)」という枠の中の、さらに「完了」という使い方で、基本的にはニュースで使われるものです。
著者の方は、現在完了の継続とそれを混同していて、「線時制」という説明をしていますが、これも間違いです。
現在完了にはさまざまな種類があり、たまたまhave+過去分詞という形をしているものを現在完了としてまとめているだけで、時制の共通点はありません。
たとえば、大きなFinishedで囲まれるものには、「経験」「完了」「未完了時制」といったものがあり、「経験」は感覚的にも「いつ」を意識しません。
「したことがある」という感覚です。
これは日本語でも同じで、「過去の時点のいつ」を意識しない言い方です。
動作は終わっていて、今に繋がっていません。
唯一、今に繋がっていることがあるとするならば、話し手が生きているというだけです。
未完了時制は、「ここ3年間で5回はスキーに行っている」「今日は3回コーヒー飲んだ」という今を含む時間の中で動作を1回でも数回でもしたかどうかを言っているもので、これも「いつ」を意識しません。
また、動作は今に続いていません。完了しています。
なので、線時制という考え方にも当てはまりません。
一方、線時制という考え方があるとするならば、現在完了を大きくUnfinishedに分類される、「結果」「継続」です。
これは動作もしくは状態が現在に繋がっているという意味で、線になっています。
ただ、強調したいのは、いずれも「いつ」を意識しないということです。
これが現在完了の特長です。
偉そうに現在完了を語っている私も、最初は「している」という状態が現在完了なのではないかと思っていました。
しかし、「状態」というのは現在完了だけでなく、現在形の状態動詞でも作れるもので、現在完了だけのものではなく、現在完了の継続の話でした。
このように、現在完了は「いつ」を意識しないという特長はあるけれども、一括りにすると問題があるということをぜひ認識して、それぞれが別の用法だと思ったほうがいいです。
ただし、日本人がやるような「完了」「経験」「継続」「結果」の4つに分けるのも危険です。
分けるなら、「完了」と「未完了」で、「完了」の中に今回お話しした「完了」「未完了時制」「経験」があり、「未完了」に「継続」「結果」(※結果は両方のニュアンスを含んでいる)があると考えるのが正しいです。
実際に英会話で使うときには、それぞれ違うシチュエーションで、違う気持ちで使うでしょう。
根拠(basis)を実際の会話から得ると、2つの大きな要素を掴むことになる。
ひとつは、英単語の音と、イメージ(動機、感情、物の画像など)が直接結びつくこと。
もうひとつは、英語の語順だ。
どの世界の言葉も、基本構造はこの二つで成り立っている。
たとえば、言語はそれぞれ、音が違う。物や動詞などのイメージや意味は、それぞれの言語の音と直接結びついている。
だから、言語を学ぶときには必ず覚えなくてはならない。
次に、語順のルールが違う。語圏で分けられるときに共通点はあるが、日本語と英語で考えると大きく違う。
だがルールはシンプルで、直感的だ。だから、言語のシンプルなルールを根拠にして覚えることで、話せるようになる。
シンプルな例で示してみよう。
目の前に黒い物体がある。クルマでも服でもなんでもいい。日本語で考えると、「それは黒だ」となる。
英語では
It’s black.
物について、「○○だ」と言いたいと思うことは世界中の誰にでもある。
英語においては、It’sのあとに言えばいい。
誰でも知っていることだけども、それが語順だ。
母国語として話すときには、it’sのあとに黒のイメージを頭に思い浮かべる。そのイメージとblackという音が結びついて、口に出す。
それを瞬時にやれるのが母国語だが、プロセスとしてはそうで、it’sのあとに黒という日本語を思い出して、黒という音からblackを導き出してはいけない。黒のイメージを頭に浮かべたとき、それは話したい、伝えたい、言いたいという動機があり、イメージがある。
ここではそれを感情とまとめているが、そういうものがまず必要となる。
もしテレパシーが使えれば、blackと口に出す必要もない。イメージを相手に送ればいいのだ。そうやって会話は成り立つ。
でも実際はできないから、そのイメージをblackという音に置き換える。それで本当に成立する。
音は、イメージを伝えるための記号のようなものだ。
そう考えると、動機がある時点でイメージがあり、違う言語を話す人たちが集まったとしても、共有できるものがある。
特定の過去形はさらに複雑だ。 「そこの壁を乗り越えられたよ」 「なんとかドアは開けられたよ …
仮定法(直説法)は相変わらず人々を混乱させている。
If it happens(もし起きると)とIf I were a bird(もし鳥だったら)ならわかりやすいけれども、
If it happens(もし起きると)とIf it happened(もし起きたら)はどう使い分けるのかというと、途端にわからなくなったりする。
この二つは、気分的に全然違うのだけれど、感情で見ていかないと、分からない。
感情的には、If it happened(もし起きたら)は今から起きるかどうかわからないけれど、「もし起きるとこうなる」という気分のときに使う。
「もしそれをすると落とすよ」「もし火を使うと火事になるよ」「もし喧嘩をすると、捕まるよ」
これから起こることに対して、「起こらないと思うけど」と否定するような気持ちはない。
この気持ちがないことが使うときの判断基準になる。
「もし食べたいなら、残しておくよ」と「もし喧嘩をすると、捕まるよ」は文法的には条件と法則といって分かれているが、使うときには考えない。
今のが現在型のifだが、仮定法過去つまりIf it happened(もし起きたら)は、まず否定から入る。
「起きてないけど」という気持ちがあることが重要だ。
それは今のことでもこれからのことでもいい。いつだって、「起きてないけど、もし起きたら」という意味。
この「起きてないけど」という感情を抜きにして仮定法過去は作れない。
「(今食べてないけど)食べたら美味しいだろうね」
「(今急いでないけど)急げば間に合うだろうね」
「(今地震起きてないけど)地震が来たらこわいだろうね」
基本的に今のことを言うが、(今食べてないけど)(今急いでないけど)(今地震起きてないけど)この部分を(明日も食べてないだろうけど)(明日も急いでないだろうけど)(明日も地震起きてないだろうけど)とイメージを広げてもいい。
そこで、これからのこと(明日)を仮定法の現在と過去で比較してみる
現在
「明日地震が起きれば(そのときが来たら 起きるかどうかは誰にもわからない けど起こる可能性がある)、水道は遮断される。どうしよう」
過去
「(明日も地震起きてないだろうけど)明日地震が来たらこわいだろうね」
現在はこれから起きるかどうかわからないけれど、起きる可能性があるから、起きた場合について現実的に考えている。
「起きたらどうしようか。まず○○に避難しようか」
過去はこれからも起きていないだろうというのが前提なので、起きていないと思うけど起きたら大変だねという感じで深刻には捉えていない。現実的な行動については考えていない。
基本的な考え
さっき地震があって、余震の可能性があるとき。「地震が来たら(現在形)、また津波が来るぞ」(これから起きるかもしれない、明日、あさって来るかもしれない)
それが1ヶ月前のとき。「もしまた地震が来たら(過去形)、やばいことになるだろうね」(今起きていない)
お父さんがスーパーに行こうとしているとき。「もしお父さんが行けば、違うものを買ってくるよ」
お父さんは家でゴロゴロしているとき。「もしお父さんが行ったら、お母さん喜ぶのに(行かないだろう)」
「私が行くならお父さんも行く?」(現在形 自分は行くつもり)
「もし私が行ったら、後悔するかもよ」(過去形 行かないけど)
他に、
あるYoutubeでhave livedの使い方について、日本人の方とネイティブの方が議論 …
能力は一般的か一般的でないかで違う 日常英会話では最初に覚えるのはこういった特定の状況下で …
ちょっと前のこと。
一緒にYoutubeを観ていて、そこに映っている人物に対して娘が
ブラッシュ
的なことを言った。
歯を磨くBrushのことかと思い、「???」という顔をしていると、
What? You don’t know (what) that means?
みたいに驚かれた。
何だろうと思っていると、頬のことを言っているらしい。
その人物は頬あたりが化粧かなにかでほんのり赤くなっている。
それを
Brush(磨く)ではなく、Blushと言っていたのだ。
恥ずかしくて頬が赤くなったり、化粧で赤くなっているのを
Blush
と言う。
顔を赤らめるという意味なので、転じて恥ずかしいという意味でも使われる。
I blushed for shame.
と言うと、「恥ずかしくて赤くなったよ」となる。
他に、
She blushed in embarrassment.
も同じ意味。
頬紅という化粧用語もBlush.
一応だけども、淡い赤色という意味なら不可算名詞。赤面という意味なら可算名詞(A blush)。
I like your blush.
っていうときは右と左にあってもsは付かない。
主観的 Subjective(曖昧ambiguous) 客観的 Objective(曖昧じ …
映画『ユー・ガット・メール』のシーンを紹介しよう。
はじめてメールで知り合った女性とトム・ハンクスがカフェで待ち合わせをするシーン。
店に入る前に友人とどうするか相談していて、「長居はしない」と決める。
そして、「いつもそういってるよな!」と自分に言い聞かせるように言う。
I always said that, didn’t I?
こういう付加疑問詞も、数パターンを一緒に覚えるのではなく、この映画のシチュエーションで、音や抑揚と一緒に覚える。他のパターンは無視する。
すると、今後迷ったときに、このシーンを思い出す。
このとき彼が言ったこの言葉が、信頼する最上位の記憶になるのだ。
文法の本で読んだことや、先生に学んだことではなく、このシチュエーションがもっとも信頼できるもの。
母国語とはそういうものだ。
そして、実際にNYにあるカフェ・ラローに辿りつくトム。
OK. Cafe Lalo. This is it.
英英辞書で読むシリーズは、説明の仕方を上達させるために役立ち、一語一語順番に読んで解釈する練習にもなる。
大事なのは、二つの単語があった場合の繋がり。
Technology
Technology refers to
things which are
the result of scientific knowledge
being used for practical purposes.
言葉を説明するときに使われるrefer toは、日本語だと「以下の通り」「〜を意味する」というニュアンス。
things which are は、読むときにはまあいいけども、日本人が口語で使うとなると難しい。
refers toから考えると、「モノを意味する」ということだけども、最初にそう言い切るのが英語の語順。
ここは日本人にとっての難関。
「モノ」と先に言っておいて、which areと内容を述べるのだから、もうとにかくこの順番に慣れるしかないし、逃げてはいけない。
次は「科学的知識の結果」だけども、「実用的な目的のために使われる」という表現があとから来る。
ことごとく日本語と逆。
being used forはひとかたまりだが、その前後はしっかり感情で繋いでいく。
つまり、knowledgeとbeingに行く感情と、forとpracticalに行く感情をしっかりやること。
相手から、1パターンだけ受け取る
母国語として外国語を習得するのに、もっとも大事なのは物まね能力だと何度も書いてきた。
発音をそのまま真似するだけではなく、感情的なもの、つまり抑揚や声色も含めての真似だ。
そういった抑揚、話し方をまるごと真似することが大事だが、なぜそれが大事なのかをすぐには理解できないはずだ。
英語ネイティブの話し方は千差万別、トーンも抑揚もことごとく違う。それなのに、たまたま目の前にいるネイティブや、動画で話している人の抑揚まで真似する必要があるのか。
答えは、ある。
母国語での初期習得時は、母親や父親から話しかけられるが、そのトーンや抑揚を真似し、現場の状況から意味を推測していく。
そして、その内容をそのまま真似する。
This is a car.
と、おもちゃの車を指さして母親が言った場合、まず子どもはそのまま真似をする。応用という考えはない。
だから最初は、This is a という文がcarのためだけに用意されているかのように、This is a car. を覚える。
抑揚、イントネーション、アクセント、すべて含めて覚える。
その情報量は大きく、次におもちゃの車を見たときに、全部を真似して、This is a car. と言う。
ジュジュイジュアカー
みたいな赤ちゃん言葉になっているかもしれない。
そうやって、シチュエーションごとに1つ、一人の人間から一つずつ言い方をまるごと覚えていく。
I can do it if you want.
生まれた娘と0歳から英語で話しかけていると、娘が日本語より先に英語を話し出した。
それが6、7年前。
ずっと英語を勉強していた日本人の父親として、どんどん話せるようになる姿が不思議で、そのころの動画を観るといつでも感動できる。
クセのない、素直でシンプルな英語を使いこなし、感情的に直感的に言語を使う。
Youtubeのアニメからもどんどん単語を覚えて、教えてないのに勝手に覚えていく。
「両親が日本人では難しい」という意見は今よりもずっと強く、困難な時代ではあったとは思うけれども、その後も英語のプリスクールでしっかり英語体験もして、逞しく育っている。
結局、「英語を教える」という勉強的なことは読み書きだけで、話すことに関しては「英語についての話をする」くらいで、真面目に文法などを「教える」ということは未だにしていない。
娘の英語習得の方法に驚きがあったので本にまとめ、それ以来、母国語として言語を覚える方法を模索しているが、それは文法や発音の勉強を何十年も真面目にしてきた上での反省からだ。
知らないことを覚えるのは楽しい。
だから英語の勉強は楽しい。
今も文法の勉強は楽しい。知識は増えていく。
もしかしたら、そういった知識で英語マウントを取る人もいるかもしれない。
だけども、母国語として話せるようになることと、英語の知識を増やしていくこととは、やはり違う。
今Youtubeには多くの英語講師が英語について解説していたり、発音について指導しているが、どれも「第二外国語としての知識」の範疇を超えていない。
例えば発音ではシュワサウンドや異なる母音などが出てきたりするが、子どもはそんなこと勉強しない。聞いた音をそのまま真似するだけで、どこが伸びてどこに力を入れるかというだけだ。
私が中学のころ、最初にローマ字をやらされた。
アルファベットでどうやって日本語を表現するかというもの。
どうしてこれを最初にやるのか、未だにわからない。
これによって結局、英単語を読むときにあいうえお、かきくけこになってしまうはずだ。
娘には小さいころに一度伝えたことがあるが、やはり意味がないと思ってやめた。
英単語のスペルには完璧な規則性がなく、漢字を読む感覚に実は近い。
ローマ字読みをしないおかげで、娘は単語を知っている音優先で読んでくれる。
スペルはそのヒントでしかない。
シュワがここにあります、この単語はこの母音を使います…という知識の入れ方はまったくその逆で、覚えるには相当の努力が必要となる。「第二外国語」としての知識なのだ。
そういったマウント用の知識を得たいのか、それとも母国語のように英語を身につけたいのか、それは本人の意思次第。
このサイトにいろいろ書いてあっても、それを手がかりに自分で考え、構築していかなくてはならない。
娘とジョークの動画を観ていたら、
Why didn’t the skeleton go to prom?(どうしてスケルトンはプロムに行かなかったの?)
というのが出てきた。
答えは、
Because he didn’t have the guts.
で、私は?となった。
娘はケラケラ笑っている。
意味を訊くと、まず日本語のガッツ、根性という意味がgutsにはあって、なんとなくわかる。
ちなみにプロムは学校主宰のダンスパーティで、好きな人を誘って行くのが通例。
彼は好きな人を誘う勇気がなかったのだ。
でもこれはジョークだから、もう一つ意味があるはず。
それは娘によると、「お腹がないから」とのこと。
gutsというのはお腹の中のことで、腸を意味するらしい。
それがないのがスケルトン。
普通に英語を勉強してきた私には腸という意味のガッツ、なんとなく過去に聞いたことがあるような気はしたけれども、わからなかった。娘はモンスター系のアニメが大好きだから、朝飯前だったのだろう…。