ネイティブが日本語で説明できない、canとbe able to 002(公開)
CanとBe able toは、「備わったもの」と「一時的なもの」でも分けられない 能力に …
若い頃に油絵を学んでいて、最初に16色の絵の具で描いていました。
上手くいかないと、先生はこう言いました。
「4色だけで描いたほうがいい」
それはつまり、4色だけで、なんとか色を出そうとすることで、混ぜたり、並べたり工夫をして、結果的に鮮やかないい絵になるということでした。
すでに絵の具師が作った色をキャンバスにのせるのは簡単で、実際に見た風景の色を、その色に置き換えるだけです。それに対しては、鑑賞者に対しても大した感想を抱かせません。
言語、特に会話において、これとまったく同じことが起こります。
よく、生徒たちと話していて、英語だけで会話するときに、「えーっと、英語でなんて言うんだっけ?」となる時があります。
これは、まさに、用意されている絵の具を探している状態です。
的確に言い当てる、定型文や単語を探しているのです。
私は英検にまったく興味がありませんが、進学や就職に必要になる場合があるので、うちの娘もそのうち受けるかもしれません。
先日、1級の問題を初めて見てみました。
すると、見慣れない単語がずらりと並んでいました。
まさに、「的確に言い当てる単語」です。
「いったい、いつどこで使うのだろう?????」と思うものばかり。
私が普段読んでいる英語の本には絶対に出てこないものばかり。
ましてや、英会話で使うとお互いにチンプンカンプンになること間違いなしです。
そして、こういったものを覚えるために使う時間は膨大になるでしょう。
この難しい単語から、それぞれ自分の表現にあったものをピックアップし、口に出す。
はい、おしまい。
です。
16色で描いた絵の完成です。
そういった会話や文は、つまらないものになるということです。
英語ではBig Wordといって、嫌がられます。
時々、私は「TOEICで高得点」と自慢している人がいますが、そういう人に多い、難しい単語を使って英会話をしようとする人たち。本当に恥ずかしいです。
NYに留学していた友人と、クイーンズのアパートで20代のはじめのころ、こんな会話をしました。
「大学で同じような留学生がいるけど、英語の知識がそんなになくても、結局中身のある会話をする人が尊敬されてる。俺はダメだ」
彼は必死に頑張って英語の勉強をして、日本式の知識があったけど、英会話となると壁があったようです。
この「中身のある会話」というのは、人間性や言語と関係ない知識のことだけではありません。
一体、何が中身のある会話にするのでしょうか。
4色の絵の具というのは、言語で言うと、例えばtake、get、have, giveといった動詞です。
あくまで例であって、言語なのでこれが10個でも構いません。
要は、こういった誰でもわかる単語を使って、わからない表現や単語も含めて、なんとか表現することで、自分だけの絵ができるというわけです。
それが「中身のある会話」として評価されます。
なぜかというと、そうすることで、自分なりのユーモアや世界観が表現されるからです。
ネイティブの人では思いつかないような詩的なものになるかもしれません。
それを、「少し面白く表現してみよう」くらいの気持ちでやるのです。
相手もくすっと笑っていいのです。
「正しい言い方がきっとあるのに、間違ったらどうしよう」と思うのが普通ですが、「少し面白く表現してみよう」と思うことで、その壁も乗り越えられます。
よくある、「こういう言い方はネイティブはしない」とかいうNG集がありますが、そんなものは気にする必要ありません。失敗して、自分で学べばいいのです。
日本の英語のテストは、まさに「こういう言い方はネイティブはしない」と脅すやり方です。人を臆病にさせます。
本当に、それがアウトです。
「感動した」と言いたいときに、
hit my heart
でも、
got my heart
でも、
なんでもいいのです。自分のイメージで考えるだけ。
「伝えよう」という気持ちが大事で、簡単な言葉だからこそ、伝わるだろうという思いです。難しい言葉ひとつで言い切って、「え! 知らないの?」と言う態度、許せません。
正直、そういった悪い方向に日本の英語本も、Youtubeも流れているように見えます。
そう思ったら、さっさとその世界から離れたほうがいいです。
簡単な言葉を駆使して、自分なりに表現するのは、そういった勉強よりずっと楽しいです。
アメリカ人が1歳から5歳くらいの子に話しかけるとき、Big Wordを使うことはありません。噛み砕いて、わかりやすく、何度も言い換えます。
相手が理解することが大事だからです。
「英語ではなんというでしょうか?」
という言葉の呪縛から解放されるかどうか。これは大事なことです。
自分だけの表現を掴めれば、英語は単にクリエイティブな遊びだと気づくことができます。
俳優さんたちに向けて英語でのオーディションや芝居での発音指導をするなかで、もっとも指導すべき要素となるのがRの発音です。
単にRをどう発音するかではなく、どう使うかという視点から指導しています。
このサイトでも以前紹介したWormの発音とWarmの発音の違いや、二重母音として比較したりしています。
そこで、私が捉えているRの考え方と、一般的に、たとえば学術的に考えられているRの考え方の違いを紹介したいと思います。
まず、ここで考えるのはbird, work, learnといった場合で出てくるRの発音です。
発音のコツとして、
「子音のあとに、すぐにRを伸ばす」
という方法を指導しています。
後半に来るRは日本語でいうアの音なので、bはバに、wはワになりますが、そのあとすぐにRの音を伸ばすという感じです。
この方法を知ったときは、耳で聞いてRの音ひとつなのに、どうして二重母音なのだろう? と思ったことがあります。
そこで、Rの二重母音の代表、arとorを見てみましょう。
こちらは明らかに二つの音が存在します。
erも二重母音とされているのですが、「eのアとRの音を同時に伸ばす」ということらしいです。
一瞬、ちょっと謎の表現ですね。。
まずarです。
HeartやFar、Car、Art、Start, arm, card, hard, partは、
どれもarという二重母音(/ɑɚ/ )で、アの発音のあとにRをつけて完成します。誰が聞いても明らかに、ア~ア(R)という音になります。
orという二重母音は、それをオにするので、オ~ア(R)という発音(/ɔɚ/ )になります。
例はStore、Warm、Port、Award, born, for, corner, torn, more
になります。
他にRの二重母音はpairのエーア(/ɛɚ/)やbeerのイーア(/ɪɚ/)、poorのウーア(/ʊɚ/)もあります。
Bird, Work, Learnに出てくるerは、これら二つのような、最初の母音が伸びる要素がありません。子音のあとはずっとRだけが伸びているのです。
【ER】【IR】【UR】
「知っていました」と言いたいときに、日本語としては過去形なので、
I knew it.
とできます。knowは状態動詞で、現在形でも「知っている」なので、過去形は「知っていた」です。
knowを使った現在完了は継続になるので、その場合は「ずっと知っています」「ずっと知っている」となり、「いつかは明確じゃないけど、ずっと長いこと、今に至るまで、知っています」という場合に使います。
ただ、これを日本語に訳すときに、「ずっと知っていました」のほうがぴったり来るときがあります。
どうして過去形のほうがしっくり来るのか、不思議です。
アメリカ英語では、現在完了を過去形でまとめてしまう場合もあるので厄介です。
特に、完了という使い方で過去形になることが多いです。
「もうやった」「今日は3回コーヒーを飲んだ」という言い方の場合に完了の現在完了になり、日本語訳では過去形と同じになります。
これが、「もうやっています」「飲んでいます」でもいいので、混乱します。
継続も、「ずっと知っています」でも「ずっと知っていました」でもいいので、難しいところです。
たとえば日本語だと、質問で「ずっと知ってたの?」と聞かれて、「ずっと知ってたよ」という会話があるとします。
なんとなく、「そのときまで」というニュアンスが入るはずで、それならhadのほうが合っていると思いますが、日本語でも、「え? 知ったってことは、今は知らないの?」といじわるなことを言う人はいません。
こういうパターンもあります。「いつから女優になりたいと思っていましたか?」という質問で、もう女優である 場合は、過去形のhadになります。
まだなっていない場合は、haveです。
でも言い方は、どちらも「思っていました」と言う場合が多いと思います。
この、日本語で「思っていました」になる理由は、こうゆうことだと思います。
Itは相手が言った文章の特定のワードを指したりします。
なので、
「俺はこの政策は間違っていると思う」という意見に対して、
「その通りだ。間違っている」と言いたいとき、
That’s right. It’s wrong.
となります。
It’s right.と言うと真逆のことを言っていることになります。
「早起きしてるんだけど」と相手が言った場合、答え方にニュアンスがふた通りあるとします。
「人類ならみなさんご存知の『早起き』は、いいね」
「君の早起きは、不規則な日が続いていただけにいいね」
前者が
It’s good.
後者が
That’s good.
となります。
It’s good. のパターンを日本語で考えると、「早起きしてるんだけど」の返答として、「あ、『早起き』してるんだ。早起き、いいね」という感じで、どこについて「いいね」と言っているかわかるように、わざわざ「早起き」と指示しています。
英語でも、
It’s good to wake up early.
と加えたほうがわかりやすくなります。
That’s good.(いいね)は、文全体を「いいね」と言っているので、「早起き」という言葉の意味だけではなく、「あなたがしていること」について「いいね」と言っていることになります。
文全体ということは詳しく述べられていることなので、thatは具体的なものを指すことになります。itは細かく、単語に絞られたりするので、その言葉自体の意味を指すことになり、意味が一般的なものになりがちというわけです。
ただ、「桜というものは・・・」という意味(一般的、概念)の答えに対してitはOKで、「私のカスタムした車は・・・」という答えでitは使えないのかというと、使えます。
なので、「一般的なもの」というのは完璧な答えにはなりません。
また、itは主語のある文章全体を指示することはできません。
「特定する必要のないもの」
『プロメテウス』では直後にこんな文も出てきます。
But it just so happens that that system has a sun a lot like ours.
「でも、たまたま、それは私たちの銀河系にとてもよく似た恒星(太陽)を持っている銀河系なのです」
これを「程度」で訳すと、「その銀河系が私たちのような恒星(太陽)を持っているくらい、たまたま起こるんです」となります。
結果で考えると、「それはたまたま起こるので、その銀河系が私たちのような恒星を持っているのです」となり、どちらも意味がわからなくなります。
これはもう、
it just so happens that ~構文と考えます。
程度で考えると、「That以下なのは、たまたまなのです」
という訳になります。
すると訳は、
程度「その銀河系が私たちのような恒星を持っているのはたまたまなんです」
結果「たまたまその銀河系が私たちと似た恒星を持っているのです」
という訳になるということです。
英語の順番で考えるときは、
「それはたまたまなんです」
「その銀河系が私たちのような恒星を持っているのは」
独り言、つまり相手がいない場合は、固有名詞を口にしたり、思い浮かべる必要はありません。
親しい間柄の会話でも、そうなる場合があります。
まずは簡単な言葉に置き換えて思考したり、独り言を言ったりしてみてください。
なんて言うんだっけ? とか、考える必要がありません。
It is beautiful.
は形容詞なので基本的には省略できませんが、会話では相手がいった後に、
It is. (ほんとだね)
と言います。
なので、
It is
と言いながら、たとえば「美しい」だったら、美しいイメージを持って言えばいいのです。
そういうことを続けていると、基本的な文法がいかに大切か、身に沁みてくるはずです。
このようにして、独り言のポイントや、英語モードにする方法を考えてきましたが、最後にいつも言っているように、馬鹿げている答えがあります。
英語モードに切り替える、というのは一見、よくある話のようですが、実はなかなか興味深いところがあります。
なぜかというと、いろいろと馬鹿げているからです。
たとえば、普段、あまり英語が出てこない人がいたとしても、「ずっと歌のように、替え歌風に、英語を話し続けてください」というと、適当な感じで英語を話し続けられたりします。
発音のモードに入らないときもあります。
ああ、なんか今日、ちゃんとした英語のトーンや発音できてないな…と思ったら、すぐに日本語の苦手なアメリカ人の日本語の話し方を真似して、モードを切り替えます。
もう、それで日本語を話そうとしても、どうしてなのか、英語が出てきます。
そして、理想的な発音ができます。馬鹿げてますね。
私の家庭の場合、0歳のときからどんなときも、私と娘は英語。だから、彼女を向けば英語が出ました。同じような年の子を見かけても、思わず英語が出てしまっていました。
それが、だんだん、私が日本語が使えることがわかって、妻と3人でいるときは、妻がのけ者にならないように、日本語を使うようになっていきました。
そうすると、戻そうとしてもなかなか英語が出てこなくなるのです…。
二人きりになるとまた英語なんだけども、不思議と三人だと出てこない。
これじゃまずいなと、話し合って、三人でいるときも英語を使うというルールにして、まただんだん感覚的になってきています。
最後に、リンキング、チャンク化の例を紹介します。
どれだけリンキングされ、チャンクされたものを覚えればいいんのだろう? となってしまうところですが、少しやれば結構先はすぐに見えてきます。
なぜなら、基本的な部分のチャンク化がほとんどだからです。
Do you have a lot of work? ジュヴァラブワーク?
これはhaveのhの部分が抜ける例です。アメリカ英語では頻発します。
まず、do you の部分がジュになります。
次に、ハの部分が抜ける(hだけが抜けるときと、haが抜けるときがある)ので、veのヴになり、隣のaとリンキングしてヴァになります。
ジュヴァまでが完成しました。
次は、ロロブになるはずですが、ラブになり終了です。
意味は、「仕事いっぱいあるの?」で、ワークの部分を替えれば、「○○いっぱいあるの?」で使えます。
ジュヴァラブだけを覚えればいいのです。
You don’t have a ticket? ユドナバ チケッ?
他に、
a bit of that. それも少しね
は、ビロダーに聞こえます。
「たくさん」と一言で言いたいときは、
Quite a lot.
で、クワイラロッだけども、クワイトの部分はかなり短く言います。
not quite. で「違います」
ナラクワイとチャンク化します。
That’s what all the tourists think.
は、ザッツ・ワット・オール・ザではなくて、
ダッツワローダ・ トォーリスツスィンク
となります。
ザッツワットでまとめて覚えていると、ザッツワット・オールと続けたくなりますが、チャンクの形としてダッツワローとなることを知っておくべきです。
It didn’t eat it.
は、
イッディドゥンニーリィッ
となり、ニードという音が存在することになります。
tがあるのに、その前のnとリンキングする、英語の特長です。
そのため、needがあるという前提で何度も聞いたりしてしまうのです。
I’m eating. も、I meeting. に聞こえます。