「知っていたかのように歌う、話す」シャドーイング
外国の知らない歌は本当になにを歌っているかわからないが、ただ同じように歌うことはできる。 …
5歳になった娘だが、さすがに話すだけではなく、読み書きの勉強を始めている。
「母国語を話すようになる」と「読み書きができるようになる」は本当に別モノだと実感する毎日だが、話すほうは相変わらず勝手に表現を覚えてくる。
こないだは、「怪獣って何?」という話から、「ウルトラマンと戦うやつ」となり、「ウルトラマン小さいころに観たよねー」という会話になった。
そのとき、付加疑問詞が登場した。
When I was a baby, I watched the ウルトラマン, didn’t I?
前から付加疑問詞を彼女は使っていたものの、isn’t it? ではなく、didn’t I? は記憶にない。
いつも通り、私からではなく、アニメから覚えているので、「肯定文のあとに否定」とか、意味とか、文法的な学習はしていない。
それでも子どもは言葉を覚えていく。
推測から言葉を覚えていくと、それは感覚的なものになっていくのだ。
シュワーサウンドを簡単に説明すると、ストレスのために、ストレスがない子音部分が生まれるということ。
たとえば、Todayはdaにアクセント、ストレスが来るが、その部分の子音であるaははっきり発音される。
デイ
となる。
Toの部分はトゥという感じになるはずだが、ストレスが別部分にあるために、母音部分が非常に短くなってしまう。
それがシュワーサウンドだ。
なので、Todayはトゥデイ。となり、小さいゥは非常に弱い。これは発音記号としてはeを逆さまにして表示され、シュワーサウンドと呼ばれる。
英語では母音をはっきりと発音するという日本の標準語にはない特長があり、母音があるために口のかたちが変わる。子音だけでは変わらない。
Toは子音+母音なので、トゥウとなるはずだが、シュワーサウンドでは最後のウを発音しない。でも小さいウのせいで口はすぼめるようなかたちになる。
これは日本語の標準語に近く、子音と母音が一瞬だけ一緒になる。
connectを例にとってみると、ネクトをしっかり言えばいいわけで、コは付け足しのようになり、コオネクトとはならない。コは日本語の標準語のコに近い。
シュワーサウンドは、シュワーにしようと意識する必要はない。
ストレスの部分でしっかり息を吐いて、一息で発音するというルール(パイプ音)を実践すれば、自然とシュワーになる。
TがリダクションするVanishing Tも、このパイプ音の実践で自然とできる。
Sentenceは冒頭のセでストレスがあるので、その後は息を吐き続けている弱い発音になる。
するとtはnと同じ口の動きのためにnに呑み込まれてリダクションしてしまう。
おそらく10年ほど前に、ネイティブの人が書いた「英語で考える方法」的な本を読んだ。
何度も読んだが、英語で考えられるようにはならなかった。
当時は仕事でも英語を使っていたけれど、仕事の英語というのは言い方がだいたい決まっているので、自然と使えるようになる。
メールもよく書いたが、それもだいたい定型になってきて、自由な表現とは言いがたい。
今は英語で考えるようになっただろうか。
少なくとも、当時よりはずっと自由に、英語を話し、英語で考えることができる。
だが、「英語で考えろ」というのは、少し違うような気がしてきている。
ネイティブの人が世界中の人に英語を教えるときに、「英語で考えろ」「訳すな」とよく言う。
だが、いきなり「訳さないで英語で考える」は無理だ。
正しい英語で考えようとすると、ただ時間がかかるばかり。会話でも一切使えない。
となると、
娘がよく使う ~ as much as you want. 「欲しいだけ(とっていいよ)」 …
日本語に訳して理解せずに、英語の文章を聴いただけの状態で、「理解した」と思うのはどういうことだろう?
「すっきりしない」という気持ちは当然あるはずだ。
また、本当は理解しているのに、日本語に訳して理解するまで、「理解していない」と思い込んでいるという考え方もできる。
いずれにしろ、人生の途中から第二外国語として英語を勉強する限り、最初から日本語に訳さずに英語を理解するというのは高度すぎる。
が、この母国語イングリッシュでやろうとしているのは、まさにこの、「英語の順番で話し、理解する」ということであり、これが最も難しいがゆえに、「日本人は英語が苦手」という現象が起きてしまっている。
リビングにいた娘が私を呼んで、
Side way! Side way!
と言った。
一瞬、ん? となったが、「横向きか」と判断。
抱きかかえて横向きにすると、飛行機のポーズをして遊びだした。
私のような日本人の英語学習者は、現地の暮らしでネイティブの人と暮らしたことがないので、こういった「横にして」という基本的な言い方を知らない。
でも、「縦横はなんて言うのか」という疑問は当然湧くから、以前調べたときから
縦がVertical, 横がHorizonと覚えていて、副詞としてVerticallyとか、Horizontallyという言い方を知っていた。
絵を描くときくらいにしか使わないが、そうするとDraw a line vertically. となる。
Sidewayはあのワインを飲み歩く映画のタイトルだし、訳すと「脇道」だ。
でも、sidewayを直訳すると、横向きだ。
じゃあ、縦向きは? と聞くと、いろいろ考えて、Upway! と答えた。
実際はUpwardなのだが、自分でクリエイトしていくとUpwayになったというわけだ。
Up wayは「向上」という意味でも使われるらしい。
他に、上向き姿勢はoverhead position、上向きになるはturn upward。
では、Sidewayはどうなのか。
今、こうして書いている時点で私は何も知らないのだが、Web検索してみると、
「横向きになる」が Turn sideways もしくは Face sideways と出てきた…。
Sidewayって、Horizontallyよりも直接的でわかりやすい「横向き」だなあと思っていたが、Upwayが違ったのでSidewayも違うだろうと心がDiagonal(斜め)になっていたのに、正解だった…。
自分で英語を教えるとなると、間違った英語を教えてしまうかもしれないので不安だが、このようにして子どもは勝手に英語を覚えていく。
一度英語の壁を取り払って興味を持つものを英語で聞くようになれば、勝手に覚えていく。
自分が教えてないのだから、「間違ったこと教えてしまった…」と後悔することなく、日々増えていく語彙に関心するだけだ。
誕生日が近づいてきて、プレゼントは何にするかで娘と話していた。
「ウクレレを今回の誕生日にして、自転車は次の誕生日にするのはどう?」と提案すると、
That’s good idea!!!
と歓び、
Good shot, dad.
と言った。
私はすかさず、
Yeah, good shot.
と返したが、グッジョブの言い換えだろうと思っただけで、よくわかっていない。
言い方も、グッショッオ、ダッドと、かっこいい。
気になったので調べてみた。
hava a good shot at は、 〜の見込みが大きくなる(目標の達成が近くなる) と書かれているし、get a good shot は「良い写真を撮る」「ナイスショットを打つ」とある。
何か違うなと思いつつ、make a good shot というのも出てきた。
これは、「的中」だ。
Good shot ”そのとおり!(私の望んだ通り)”なら、意味が通じる。
でも、基本的には「試験で山が当たった」的な使い方らしい。
基本的にはシュートや射撃にぴったりの言葉だが、他には「成功した」という使い方もある。
You gave it a good shot. で「いい仕事だった」だし、「演技は良かった」でも使える。
ということは、グッジョブだ。
Good shot.
幼稚園からの帰り道。
娘が
I have to …. don’t go ○○!
と叫んだ。
「しないようにしなきゃ!」ということを言いたかったらしく、少しhave toのあとに間を置いてdon’tが出てきた。
一瞬、「しないようにしないと」とはなんと言うのだろう? と考えたが、出てこない。
とりあえず、「Uhhh not to go, right?」と呟くと「Yeah, not to go」と返してきた。
落ち着いて考えれば
Try not to go だが、
I have to の場合に、I have not to go とか、I have to not to goとか、妙なことを考えてしまう。
あるかもしれないし…と。
調べてみると、言い方としてはあった。
ただし、don’t have to とほぼ同じ意味だという意見。
don’t have to (してはいけない)のさらに強いやつがmust notで、have not to はどちらでもあるという意見。
でもおそらく、どちらかというと、I have not to goはdon’t have toと同じ強さの「行ってはいけないけど行ってもまあいいか」。
I have to not to goはI have to not goとなって、意味は同じだという意見。
さらに、I have not toはunusualということで、ほぼ使われない。
ここまでが、あるフォーラムでのネイティブ1の意見。
ネイティブ2はこう言う。
must not go とhave to not go は「行ってはいけない」
don’t have to は「行く必要はない」つまり、don’t need toやneedn’t goだ。
I have not to はやはりレアというか、ほとんど「ナシ」で、文法的にはdon’t have toと同じ。
ということで、have not to は「しないようにしなきゃ」の意味ではないし、ほとんど使われない。
have to not は「絶対駄目」かもしれないので、これも違う。
日本語の「しないようにしなきゃ」の「しなきゃ」は他にI gotta があるが、
I gotta try not to go.
でよりニュアンスが出るかもしれない。
I have to try not to go. も。
英語をしっかり聴き取れれば、文法やライティングは後回しでいい。
そこが基本の考え方となっている、このmothertongue.jp。
「ストレス(アクセント)とイントネーションを素直に聴く」というのは、赤んぼうや子どもが母国語を覚えていく過程の最も重要な要素であり、大人の英語学習者にとってもプライオリティを置くべき要素。
どんな内容でもいいから、ニュースやバラエティ、ドラマなどのネイティブ英語を、この方法で聴けば、英語は自然と身に付く。
「ストレス(アクセント)とイントネーションを素直に聴く」ことで英語を聴き取れるようになり、記憶できるようになり、シャドウイングができるようになる。
人間は音やリズムを覚えていくのは得意で、だから言語を扱えるのだ。