母国語リスニングスタート 母国語リスニング001
0歳、1歳の子どもが英語を習得する過程を辿るために、母国語イングリッシュ習得法というカテゴ …
娘が小さいころは、おもちゃが壊れると
It’s not working anymore.
という言い方をしたが、それは電池で動くようなおもちゃに対して使う言葉だった。
最近はおもちゃ以外のものも含めて「それ壊れてるね」となると、
It’s broken.
と言う。
家ではたいていそんなものだが、何かの動力装置があるもので、回るようなものの場合は違う。エンジン、エレベーター、扇風機、洗濯機、ビデオテープなど、エンジンやモーターのあるものだ。
つまり、回っているもの(running)が消耗して壊れるようなイメージ、日本語でいうと「故障」だが、これは
I gotta, I have to, I must, I need, I wanna, I will といった言葉が出るときは、心の中で感情が出て、先にまず選択される。
空を見て、
I wanna …
fly.
という順序だ。実際にはI wanna fly. と一気に言うし、最初から一文が決まっているようだが、「飛びたい」という気持ちがありながら、
I wanna のあとの言葉をかえてもいい。I wanna be a superhero. でもいいのだ。
日本語にはない、I have to, I must, I need、I’m gonnaなどを先に選ぶ感覚は、とにかく日本人にない。
どうすればいいのか。
意味ではなく、感情だけで音を聴いていくということを繰り返すと、音と音の繋がりも捉えられるようになる。
だが、そもそもDoのあとにsheが来ない感覚は、すでに日本人の英語学習者の多くが持っているが、その感覚を使わないことが多い。
Do you want this? という一文を暗記もしくは、話す前に準備してから話すから、Doのあとに何を言うか決めていないという母国語的な話し方をしたことがないのだ。
日本語で試すと、「今日(きょう)は」と口にすると、次に何を言うか、自然と口が開こうとする。
どんな言葉が出てくるだろうか。
「忙しくなる」とか、「暑い」、「いい日だな」といったところだろう。
では、「今日は」と言ってから、そのあとにあり得ない表現、言葉を選択しようとしてみてほしい。
なかなか出てこないはずだ。
たとえばだが、「作ってみます」「知られざる」とか、いくらでも合わない言葉はある。
それでも、「今日は」と言ったあとは、使ったことのある言葉しか出てこない。
英語でも、その経験値があれば同じことが起きる。
ある日の夜。最近娘がハマっているアニメの英語が速いので、妻が「全部聴きとれてるの?」と娘に訊いた。
娘は「うん」と答えたので、「じゃあなんて言ってるか教えて」ということで、アニメを再生しながら、文を言おうとするとなかなか言えない。
タブレットは巻き戻しが難しいし、「聴きとれなかったら次のでいい」と伝えても、ごちゃごちゃやっていてなかなか言えない。
妻が「難しかったね。ごめんね」となり、その場は終わった。
いつもなら真似したり、訊いたらすぐ答えるのに出来なかった。
私は、「もしかして聴きとれてないの?」と意地悪な質問をした。
「聴きとれてたり、聴きとれてなかったり…」みたいなことを娘は言う。
聴きとれて無くても、そこから推測で言葉を覚えていくから、それはいい。
でも、半分もわかってないなら、ただ絵を見ているようなものだ。
「もし50パーセントだったら、80パーセントのものを観たほうがいんじゃない?」
と提案すると、悲しそうにイエスと言った。
そのアニメはギャグもので、あまり上品ではないから、前から「そればっかり観るのは駄目」と伝えていたのもあり、私の意地悪な気持ちが働いたのかもしれない。俺が真面目なものばかりみせて、ユーモアのセンスがなくなるのも問題だと思っていて、正直、親としてはよくわからないのだ。
「じゃあ80パーセントのものはなんだろう?」となり、娘は「フィクシーズ!」というので、一緒に観ながら、登場人物の台詞を繰り返した。ほぼ100パーセントだ。
相変わらず、歌の聴き取りも得意で、そのギャグアニメの歌もすぐに覚えてすらすら歌う。ギャグアニメはスラング的な表現も多く、ネイティブだとしても6歳の娘には少し早いはず。
Youtuberの動画でも、二人の登場人物のうち、女性のが聴き取りづらいという。
かといって、今まで観ていたいろいろなものに少し飽きてきているのかもしれない。
「英語が話せない」という人に、「Oh」「Yeah」「No」だけでコミュニケーションをしてみようと誘っても、誰もしないと冒頭で書いた。
できるのだけど、できない。
お酒を飲んで酔っ払ったらできる。
何度も実験したが、誰もできない。
「Oh」「Yeah」「No」は訳す必要がないほど簡単な意味なのに、人はもっと難しい単語や文法に興味を持つ。
じゃあ、その難しい文法を実際にネイティブを前にしていつ使うのか? という問いには誰も答えられない。
極端な言い方をすれば、「Oh」「Yeah」「No」を使いこなした時点で、「英語はあなたの母国語になった」と、言うことができる。
このブログで、娘のリーディング学習において、フォーニックスやアルファベット読み、母音読みがあるという苦労を伝えてきた。
だがその前に、もう一つの方法があるのに気づいた。
ローマ字読みだ。
フォーニックスはラテン発祥だから、ローマ字読みと繋がっているはずだが、昭和49年生まれ、中学から英語を学んだ世代は、最初にローマ字読みを教わった。
フォーニックスはやっていない。
ローマ字読みは、日本語の言葉をローマ字で書いたり読んだりするものだとして教わった。
そのせいか、娘には一切教えていない。
たとえば、Finishという言葉があるとして、娘は最初頭の中で、フ、イ、ヌ、イ、シュと読んで、知っている言葉と照合し、「フィニッシュ!」と読む。
だけども、自分の場合はこうなる。
フィ、ニッ、シュ。
Fiはすぐにフィと読むし、niはニと読む。
これはローマ字読みをやっているからだ。
Konbanwa. Kyouha ii tenki desune.
と書けるのは、ローマ字読みをやったから。やっていないと、できない。
ローマ字読みをやれば正しく英語を読めて発音できるのかといえばそうではない。
たとえばNewはネウ、Goodはゴオッド、Honeyはホネイと読んでしまう。
Honeyはフォーニックスだとホ、ア、ヌ、イ(アルファベットもしくはサイレントワード)、イ(Yのフォーニックス)となる。
子音のHとOを繋ぐのはローマ字読み的な感覚で、NとEとYを繋ぐのもローマ字読みの感覚だ。
子音+母音という基礎。
そうなると、読み手の感覚としてはHO+NEYの組み合わせで読む。
フォーニックスのように、ホ、ア、ヌ、イとならない。
フォーニックスの中にローマ字読みは含まれているのかもしれないが、フォーニックスのあとにはっきりと子音と母音の組み合わせ方を教えないと駄目なような気がする。
ふっと強く息を吐くとお腹が動いて、ひっこむ。これが複式呼吸だ。たとえばボクシングのスパーリングで、パンチのたびに息を吐くのも、腹式呼吸。ふっ、ぱっ、ほっと、なんでもいいので、強く息を吐く。
全身で吐くことを意識すると腹式になる。
アメリカン英語はこの腹式呼吸を使って発音する。そのため、手を口の前にかざすと息がたくさんふきかかる。
発音の前に息を吸うという行為が必要なはずだが、それはどちらかというと肺を使う場合(胸式呼吸)。日本語の場合は文章の前に息を吸って、文章の最後までで使い切る。
「そうだね」と文の最初に言うときに、「言いながら吸う」ということもできるのだ。
一方、腹式は準備なしに突然音を出せる。小さい音になればお腹が動かなくても腹式になり、慣れると一語ずつに使える。ただ基本的に胸式よりも音が大きくなる傾向にあり、街中で英語の声が聞こえてくるのはそのせいかもしれない。
英語におけるSV(主語+動詞)の順序は思考したり話すときの基本となるが、リスニングでも強力な武器となる。魔法があるとするなら、このSVこそが魔法なのかもしれない。
リスニングにおいて、相手は最初に主語を話し、動詞を口にする。
そこを受け入れた上で、やがて発せられる次の言葉を待ち、聴く。その繰り返しをしているだけだ。
それ以外のパターンはSVの基本に慣れたあとにオプションとして取り入れていくだけで、常にSVの順序で聴き、理解していくことが基本となる。
ベーシックができてくると、thatの接続詞が来ても混乱しない。ベーシックができていないと、thatの接続詞のあとを独立した文として聴いてしまったりする。
つまり、リスニングでは最初の主語がまず大事で、次の来る動詞が大事なのだ。
相手が何か話しているときに、そこが聴きとれずにそのあとのほうに来る目的語を聴きとれてもあまり意味がない。
とにかく最初の主語。それがAlthoughとかifとか主語ではない何かに遮られても、その次に来る主語をとにかく理解すべきで、話している最終に聴きとれなかったら話をとめて確認すべきだ。